あれは忘れもしない、土曜日の朝のことでした。コーヒーを淹れようとキッチンに立った私は、足元のキッチンマットがぐっしょりと濡れていることに気づきました。最初は寝ぼけて水をこぼしたのかと思いましたが、マットを持ち上げると、その下のフローリングにまで水たまりが広がっています。その瞬間、一気に目が覚め、心臓がバクバクと音を立て始めました。一体何が起きているのか分からず、シンクの下の収納キャビネットを恐る恐る開けてみると、そこはまるで小さな池のようでした。置いてあった鍋やフライパンが水に浸かり、カビ臭いような嫌な匂いが立ち込めています。原因は明らかにこの奥にあるようですが、薄暗くてごちゃごちゃした配管を見ても、どこから水が漏れているのかさっぱり分かりません。「どうしよう、どうしよう」と、頭の中で同じ言葉がぐるぐると回り、完全にパニック状態でした。下の階に水が漏れたらどうしよう、修理代はいくらかかるんだろう、という不安が一気に押し寄せます。とにかく水を止めなければと、シンクの下にあるはずの止水栓を探しましたが、どこにあるのか分からず、さらに焦りは募るばかり。もう自分では無理だと観念し、スマートフォンで震える手で「台所 水漏れ 修理」と検索。口コミが良さそうな業者さんに電話をかけ、状況を必死で説明しました。一時間ほどで到着した作業員の方は、私のパニックぶりとは対照的に非常に冷静で、手際よく点検を始め、すぐに原因を突き止めてくれました。原因は、蛇口に繋がる給湯管の接続部分にあるパッキンの劣化でした。長年の使用で硬化したパッキンに亀裂が入り、そこからじわじわと水が漏れ続けていたようです。パッキンを交換してもらうと、あっけなく水漏れは止まりました。あの時の安堵感は言葉にできません。この一件以来、定期的にシンク下をチェックするようになり、信頼できる業者の連絡先を控えておくことの大切さを身をもって学びました。